「あなた」へ
高校2年のころ、最初で最後のくちづけをしましたね。
ずっと前の話だけど、あのことは今でも忘れません。
僕が告白して、OKをしてくれたあなた。
3回目のデートで初めてのくちづけ。
あの時は、これからもずっと一緒にいられると思ってた。
でも人間って、運命って、儚いものなんだね。
そんなこと、あの時は全然分かっていなかった。
「運が悪かった」と言えばそれまでなんだろうけど、悔しいよ。
神様が本当にいるんだとしたら、よりによって何であなたをあんな役目に選んだのだろう。
交通事故であなたが逝ってから10年が過ぎました。
僕はあなたのことを今でも諦めきれません。
格好悪くてもいい、せめてあなたとの思い出を抱いて、このまま生きていきたい。
あなたを思い出すことで、あなたが僕の中に生きていられるなら。
今日の空はあの日と同じ空の色をしています。雲ひとつ無い、綺麗な青空です。
この空の上、貴方は今でも僕を見守ってくれていますか?
寂しくて、泣いたりしていませんか?
もしそうなら、僕のことを見ていてください。
あなたのために精一杯叫ぶから。お互いの声は聞こえなくても、心は今でも繋がっているはずだから。