2006年08月26日

憧 憬

579 :1/4:2006/01/16(月) 09:17:24
小学生の頃、よくお世話になったカズ君とヨウ君という一つ年上の先輩がいる。
まぁ彼らとは小学生時代に知り合った仲だし、
ヨウ君に至っては他校の生徒だから先輩というよりも良き兄貴分のような間柄さ。

カズ君は遊びグループのリーダーで、
洋画"Stand By Me"でKiefer Sutherland扮するAce Merrillや
「ドラえもん」に出てくるジャイアンのような典型的なガキ大将。
彼は権威を振りかざし、年下のみならず同等のはずの
同級生さえも配下に置く、誰も逆らえない絶対的な存在だった。
ちょっとでも彼の機嫌を損ねた者は、
グループ内での執拗なシカト攻撃がはじまるんだ。
普段、弱者内でのダメリーダーだった僕には本当に付き合いづらい相手だったな…
しかも彼の住居がうちのすぐ近隣だから、
道端で鉢合わせしないように慎重に行動したよww
でもカズ君には統率者としてのオーラがあった…
そんな独裁体勢に僕達は服従し、
人生を渡り歩くために必要な尊重すべき上下関係というものを叩き込まれたし、
人脈の広い彼との出逢いで、極力保守的だった
僕の交友関係の輪も大きく広がり急成長を遂げることができた…
実際‘もう一人の先達’ヨウ君との出逢いも彼を経由してる。
カズ君がいなければつまらないスクールライフを歩んでいただろう…
いわば人生のキーマンだな。

小学生の頃にカズ君先導の下、
そのうち自分達が進学するであろう中学校の周囲をチャリで廻り、
諭すように「ここがいつか俺達の通う学校だぞ」と告げられた経験が忘れられない…
ヤンチャな彼の背中が先輩としての威厳を放っていたし、
高い塀越しに校舎を見上げたとき、
具体的な人生の階段を目の当たりにした気分だったよ…
これから一体どんな運命が待ち構えているんだろうってさ。。。


580 :2/4:2006/01/16(月) 09:18:06
ヨウ君は小学生にして眼に掛かる程の長い髪を茶色に染めていて、
頭を振ってもどかしく前髪をわけてるイメージがあるなぁ…
それだけで‘普通とは違う何か’を意識していた
多感な時期の僕にある一つの出来事が起きて、
彼を頼れる大先輩として仰ぐきっかけとなった。

当時、ミニ四駆という組み立て式の自走する車のオモチャが流行っていて、
グループ内の誰もが改造した愛車を手にしていたんだ。
ブームに乗り遅れた僕は、みんなが駐車場で四駆を走らせているとき
甲高い変声期前の声を張り上げ「今からミニ四駆を買ってくる!」
お小遣いが少なくても仲間外れという最悪の状況を避けるために必死だった。
このグループは仲間意識が強く、
薦められたタバコの吸引を拒否しただけで「お前イイ子ちゃんになったのか?ww」と
からかわれるような集まりだ…流れに反るわけにはいかない…
実際にそう言われたときは、はみだし者としてのプライドを学んだ。
つまり、まともになることは仲間達との決別を意味していたんだ。
別れが惜しいなら、懸命にしがみつかなければならない。

で、四駆を購入すると宣言した際に
わざわざ遊びの輪から外れて付き合ってくれたのがヨウ君だった。
二人で模型屋に向かい、彼は初心者の僕に
数ある四駆の中から性能のいいマシンを選抜してくれて、
その場で製作に取りかかってくれたんだ。
でもランナーから四駆のパーツを切り離すために必要な
ハサミやニッパー等の工具を持ち合わせていなかった彼は、
ランナーにかじりつき、強引にパーツを噛み切ってくれたのさ。
僕は友愛を感じたよ…黙々と作業する彼はとても眩しかった。。。
グループへ捧げた僕の精一杯の奉仕が報われた瞬間だ。


581 :3/4:2006/01/16(月) 09:18:42
ある秋の季節、いつもの集まりで公園で遊んでいたとき、
ヨウ君とカズ君が意見のぶつかり合いで対立したため
カズ君の口から「ヨウ君を徹底的に無視する」という非情なルールが発令された。
グループは忠実に指示に従い、
当然‘長い物には巻かれろ’スタイルの僕も司令塔の元へぴったりとつくww
いざこざに巻き込まれるのはごめんだ。

でも公園内でグループとヨウ君が距離を置いて対極に位置したとき、
子供心ながらに僕は深いジレンマに陥った…
友達か仲間か…今まで大切に築き上げてきた関係の板挟み状態さ。
自分の面倒をよくみてくれた友達が目の前でひどい仕打ちを受けるなんて、
どうしても我慢できなかった…こんな惨状を見過ごすことなんてできなかった…
そのとき僕の中でなにかが弾けて、
気がつくと、命令に背いてヨウ君の元へ駆け寄っていたんだ…

-はじめてカズ君にした反抗だった

二大勢力の狭間に立たされた弱者の窮地なる行動だったよ…
よくあんなに大胆なことができたと想う。
一進毎にヨウ君に近づき彼の驚いた表情が明確になる度、
もう後戻りできないと想った…
背中に鋭く尖ったナイフのように突き刺さる視線を感じて、
うしろを振り向くこともできなかったな。。。
猛威を振るう強者の権力よりも、断固たる身近な友情が優先された稀なケースさ。
もし実社会で上司に対してこんな行為を働いたら間違いなく首が飛ぶww

ヨウ君はこういう状況下でも僕を優しく受け入れてくれたよ…
とても喜んでくれた…しかし課せられた代償は大きく、
遠方にいるグループに冷笑され迫害させられたよ…
反逆者二人は枯れ落ちた秋葉を踏みながら公園内を散歩し、
ベンチに腰かけてお互いの四駆を行き来させながら過ごした…
かえって僕にとっては至福のひとときだったな…
憧れている人と1対1で向き合い、
心を通わせたように感じて、もうなにが起きても構わないと想った。。。
でもさすがにまだ子供間の抗争だよなぁ…
数日後にはこの一件のことは綺麗に洗い流されてみんな仲直りしてたww
僕は無事グループから追放されることなく、
カズ君、ヨウ君の二人もいつも通りさ。


582 :4/4:2006/01/16(月) 09:19:21
ヨウ君は真摯な気持ちで敬慕できる人だった。
口を開けば彼への憧憬の気持ちを周囲に打ち明けていたな…
僕達は同校ではなかったから顔を合わせる頻度はとても少なくて、
クラス内での彼はどんな生徒なのかわからなかったけど、
きっと女子の人気者だったはずだ…容姿も内面も最高だった。
小学校を卒業すると、二人の‘ビッグネーム’に洗礼を受けてる僕は髪を赤く染めたww

誰よりも暖かかったヨウ君の精神的な包容力が忘れられない…
僕が一人前の人間になれるまでずっとそばにいて欲しい。。。
そんな身勝手な気持ちがあまりにも大きくて、
数年振りに彼が住んでいた一戸建ての木造住宅を尋ねたら
見たことのない小さなアパートが建っていたよ…
ささやかな念願は叶わなかった。。。
ちゃんとあの当時のお礼を伝えたいし、僕の成長した姿を見せたかったなぁ…
長い年月が僕達の身体や街並を変えてしまったけど、
仲間を想う気持ちは形を変えずあのときのままさ。。。

誰よりも人一倍にカッコよかったヨウ君に、もう一度逢いたい。。。
posted by 管理人@ at 00:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読み物(まじめ)
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